守られているはずの当事者。ところが実態はとても追いついていない状態のようです。対談第5回目。

当事者の人権は守られているのか

■一時的な委託保護の可能性

浅見 直輝:どこから問題提起していくべきでしょうか。制度、組織、人権。

木村 よしお:みなさん方の当事者の人権ね。ここからスタートすべきですね。日本と海外は全く逆ですもんね。

木村 よしお:子どものための制度なのに全く子どものためじゃなくて、逆にね、拘束しちゃって。社会から隔離して、またね、強引に閉じ込めちゃって。まずそこを変えなきゃ。

菊池 真梨香:今、里親家庭に一時保護委託っていうのをすることもできて、今も結構それが広ありつつあるんですよ。でも、まだこれっぽっちしかされてないですけど。でも、里親家庭に一時保護委託されれば、鍵もかかっていないです。地域がそこから近ければそこから学校も通ったりっていうのも可能でしょうし。一時保護ではない解決策になります。

■小学生と高校生が同じ学習教材を使うことも

志水 柚木:私の場合は、自分で警察に助けを求めて一時保護所、強制的に一時保護してもらうっていう形になったんですけど、ずっと家に帰りたくないって言ってたのにも関わらず、家に帰されてしまったケースです。

志水 柚木:当時17歳だったんですけど、後1年我慢しなさいって言って家に帰されたんです。

浅見 直輝:警察から家に帰されたって事ですか?

木村 よしお:理由の説明あったんですか?家に帰りなさいっていう事への。

志水 柚木:当私が高校2年生の冬だったんで、1月に修学旅行があって、修学旅行には行きたいっていうのを言ってたんですよ。それを、多分行かせてあげたいっていうのがあったのかもしれないです。

木村 よしお:児童相談所から修学旅行出してもらえないわけ?

志水 柚木:児童相談所からは、外に出れません。集団行動、集団訓練で。学校に行けない。無断欠席になって。学校は無断欠席になっている説明を受けました。居場所が特定されてはいけないから、電話もかけられないっていう。

浅見 直輝:その間の学習も抜けちゃってるって事?

木村 よしお:保護っていう名目だもんね。

志水 柚木:確かに身は保護されるんですけど、持ち物、着てる物も全部回収されて、その施設、一時保護所にあるもの下着、靴も全部着させられて、食べるものも用意してもらったもの食べました。

志水 柚木:だから、誰とも話しちゃいけないし、職員とも、やたらと話したらいけなくて・・・。

木村 よしお:それ拷問みたいな話だね。

志水 柚木:そうです。それが、私が高校2年生で1番後から入ったんですがいきなり最年長でした。下の子は小学校1、2年生の事かもいましたが、全員同じプログラムなんですよ。お風呂も一緒、ご飯も一緒、一緒勉強の時間も一緒。

木村 よしお:それで、入浴は毎日させてくれたの?

志水 柚木:入浴は、毎日。でも、みんな一緒です。一緒というのは、同時という意味です。

志水 柚木:ちっちゃい子も、おっきい子もみんな一緒でした。学習も、ちっちゃい子たちが多いと高校生用の勉強するものが何もないから、みんなが小学生用の漢字ドリル、計算ドリルやってるような状態。

菊池 真梨香:来る子どもたちに対応できてないんだよね。

志水 柚木:そうです。

菊池 真梨香:場所によっては乳幼児もいます。でも大体は学童って感じで大体2つに分かれてて、学童は、本当に小学生から、高校生までですね。

浅見 直輝:さっきの話だと、施設としては、実績上げるためにいてもらった方がいいみたいな感じなんですか?

木村 よしお:変な話になるけど、乳幼児は、ある意味預かりやすい。

浅見 直輝:おおお。。。

■保護されている間は本来あったはずの思い出づくりも失う

木村 よしお:何日間いたんだっけ?3週間いたで、学校行かなかったらみんなが心配するよね。

志水 柚木:みんな急に学校来なくなるからすごい連絡くれてたみたいなんですけど、急に携帯電話も没収されてるから連絡取りようがなくって。みんな先生に聞いたみたいですが体調不良としか答えてくれなかったそうです。

木村 よしお:修学旅行行けたの?

志水 柚木:修学旅行はいきました。でも全然楽しくなかった。

木村 よしお:修学旅行の前々日に帰されたんです。家帰ったら私が使ってた部屋とは違う別の部屋に私の荷物がばーんって移動されてて、洋服も、多分半分くらい捨てられてたし、準備するもなにもなかった。

志水 柚木:自分の着たい服は何もないし。急に一時保護から帰されて、急に修学旅行に行っても楽しめるような気持ちはなかったですね。

菊池 真梨香:その間の思い出を失うんですよね。2か月学校に行けなかった子たちがまた戻るっていうのが、その気持ちっていうのが考えられていないですし、保護されてる間の間にある行事とかも全部失うんですね。小学校時代の思い出とか、本当に大切なのに。

菊池 真梨香:身は保護されてるけど、自分の本当に本当に欲しいものは保護されていないっていう。

木村 よしお:それは、拉致と同じじゃない?拉致事件だよな、これ。

志水 柚木:親に対して私が保護、強制的に保護してもらう形になったんですが、児童相談所からはどこにいるか教えられませんって言われたそうで、「じゃあ死んでるかもしれないから」って思ってお葬式の準備をしようか考えたと、あとから親に聞きました。

菊池 真梨香:誰のための、何のための制度なんですかね。

木村 よしお:本当だね。

志水 柚木:家に帰っても、うまくいくはずないじゃないですか。私の親は賢いっていうか、手をあげたら虐待だっていう認識があるからほとんど9割5分くらいは我慢するんですよ。手をあげずに。その代わり言葉の虐待が多くて。目に見えるものとしての虐待ではなかった部分が大きいから、先生にも気付いてもらえないし、友達にも言えないし。

木村 よしお:いまは何かの職業に?

志水 柚木:はい。仕事してます。東京から、山口県に大学4年間行って、東京に戻ってきて専門学校行ってたんですが、頑張りすぎてしまってちょっと体調不良になってしまって。最近は療養しながら働いています。

志水 柚木:山口県の大学っていうのが、至誠館大学っていうんですけど、全国の児童養護施設とかを出た子ども達を受け入れて学費を免除してくれる制度がある大学で、その面では、経済面ではすごく助かりました。

木村 よしお:そんな立派な大学があるんだね。

次の対談テーマ:

「当事者目線」と「施設目線」とは?

これなら、施設にいるより、家に戻った方がいいんじゃないか、、、
でも、一度施設を出てしまうと、二度目の保護は受け入れてもらえなくて、、、

話し手:志水柚木(しみずゆづき)
何度も家から出ようとして、17歳でやっと保護してもらえた経験を持つ児童養護施設出身者。プロジェクト「Our Voice Our Japan」第1期ユースリーダー。

話し手:ブローハンさとし(ぶろーはんさとし)
アーティスト。シンガー。義父にライターでお尻を焼かれ、その傷が学校の先生に気づかれて児童養護施設入ることができた。「Our Voice Our Japan」第2期ユースリーダー。

話し手:Rさん
会社員。中学時代から18歳まで施設で生活。一時保護所で大変苦しい思いをした。

話し手:木村よしお(参議院議員)
参議院議員。元厚生労働副大臣。年金、医療など社会保障のエキスパートとして、よりよく暮らせる社会のために活動を続けている。参議院厚生労働委員会委員、参議院行政監視委員会理事、参議院政府開発援助等に関する(ODA)特別委員会理事。

ナビゲーター・コーディネーター:浅見 直輝(最前線で活動し社会を変えていく青年)