葦原 海 (あしはら みゅう) ×木村よしお第4回 偏見をなくすために

葦原 海 (あしはら みゅう) ×木村よしお第4回 偏見をなくすために

前回出てきた「心のバリアフリー」というワード。それを実現するためには、どんなことが必要なのでしょうか。また、障がい者が特別視されてしまう現代の社会には、法律の問題も潜んでいるようです。対談第4回目。

偏見ではなく、わからないだけ

浅見
浅見
さっき言われていた、心のバリアフリーって、とても良いワードでしたね。
木村
木村
みゅうちゃんは、心のバリアフリーって、どういう所に一番感じますか?
みゅう
みゅう
やっぱり、みんなが持っている偏見をなくすことだと思います。
みゅう
みゅう
車椅子の人が通ったら、気になって見てしまうのもわかるのですが、なんかそれは結局、まず、見慣れていないということが大きな壁になっているような気がしていて。
みゅう
みゅう
私は、偏見を持ってしまう理由は、結局、社会が作っている障害だと思うんです。障がい者の中には、健常者の人が理解してくれない・わかってくれないからだと文句を言っている人がけっこういます。でも私は、健常者の時期があったからわかるのですが、多くの健常者の人は、障がい者に偏見を持っているというよりは、ただ単にわからないだけだと思うんです。
みゅう
みゅう
例えば、車椅子の人が急に目の前に現れたら、普通の人は、どう接したらいいかわからないし、支え方もわからない。それって、お互いを知らないだけですよね。お互いのことがわからないから、深入りもできないし、変に関わることもできないんですが、それが結局、“偏見”という意識になってしまっているように感じます。

障がい者を見慣れてもらいたい

みゅう
みゅう
だから私は、メディアを通して発信していくために、車椅子アイドルという表の活動をしています。やっぱり、テレビや新聞などのメディアの発信力は大きいので、そこを通して伝えたいと思っているんです。
みゅう
みゅう
社会が持っている“偏見”を解決するには、まずは見慣れることが大事なんじゃないかと思うんですよ。今のテレビだと、車椅子のタレントさんて出ていなくって。
木村
木村
車椅子のタレントさんて、いないの?
みゅう
みゅう
いないですね。基本的には。小さな事務所に所属している方はいるんですが、地方の講演やトークイベントなどに出られているみたいです。
浅見
浅見
スポーツ選手は、何人かいますよね。
みゅう
みゅう
パラリンピックの選手などはいますが、それこそ私も、もともとスポーツ好きじゃないので、スポーツのテレビ番組なんて見ていなくって。そうするとやっぱり、接する機会も見る機会もないんですよ。

法律が障がい者を見慣れない状況にしている!?

浅見
浅見
今のみゅうちゃんの話を聞いて、どう思われましたか?
木村
木村
まずね、日本では、障がい者として定義されている人たちが、実はとても少ないんですよ。日本の人口1億2千500万人に対して、身体障がい者300万人、知的障がい者50万人、精神障がい者350万人の合計700万人。
浅見
浅見
結構いるように思うのですが。
木村
木村
ところが、アメリカや欧州などの先進国では、障がい者と定義されている人は、だいたい人口の2割なんだよ。ひとつの国に2割障がい者がいる。とうことは、日本では障がい者じゃなくても、他の国では障がい者として定義されている人たちが、たくさんいるわけだよね。
木村
木村
日本では、障がい者を本当に狭い範囲に指定しすぎている。だから、特別扱いとか特別視されてしまう。もし人口の2割もいたらね、違うでしょ。5人に1人が障がい者なんだから。
浅見
浅見
キュッと狭めてしまっている、と。
木村
木村
そう。そして、もう一つの理由は予算なんだよね。障がい者年金とか手当とか、いろいろあるでしょう? その予算をなるべく使わないように、定義を調整して、数を減らしている。
浅見
浅見
それって、闇が深い話じゃないですか。がい者を見慣れない状況を、法律が作っているってことですよね?
木村
木村
そうそう。だからもっと、障がい者の定義は広いんだってことにしておけば、日常の中での健常者と障がい者の区別って、無くなるのかもしれない。
浅見
浅見
そんな状況を国が作っていたなんて、驚きです!え?なにそれ?みたいな(笑)
木村
木村
だから、それを助けなければいけないと思っています。障がい者政策は、他の人に広がると予算が回らなくなって、ますます財政が厳しくなるという感覚が先行してしまっていて。そこがある意味、出遅れているんですよ。
浅見
浅見
ということは、障がい者を見慣れる社会というのは、いいですよね。
表に出ていく意味がある。
木村
木村
そうなんだよ。タレントなど、もっとどんどん出てくればいい。それが普通の社会にならないと。そういう意味では、パラリンピックもそうなんだよね。

2人の紹介

話し手:葦原 海 (あしはら みゅう)
2014年、16歳の時の事故により車椅子ユーザーとなる。2016年秋、NHK番組内で行われたファッションショーをきっかけに、モデル・タレント活動が始まった。現在では、多数のファッションショーに出演の他、TV / ラジオ / グラビア / トークショー / 講演会 / MC など幅広く活躍中。2020年東京オリンピック・パラリンピック公式イメージ動画にも出演。歩けていた頃と、受傷後では視野が変わり、今ある障害者と健常者の壁、不必要な固定概念を、エンタメの力で壊そうと今に至る。

話し手:木村よしお(参議院議員)
参議院議員。元厚生労働副大臣。年金、医療など社会保障のエキスパートとして、よりよく暮らせる社会のために活動を続けている。参議院厚生労働委員会委員、参議院行政監視委員会理事、参議院政府開発援助等に関する(ODA)特別委員会理事。

ナビゲーター:浅見 直輝(最前線で活動し社会を変えていく青年)