児童養護施設は18歳になったら誰もが出なければなりません。社会に出てからの苦労と、つながっていくことの難しさ。対談第7回目。

18歳から社会で生きていかなければならない難しさ

■18歳が進む道

浅見 直輝:全国で児童養護施設に入ってる子どもたちの人数ってどのくらいいるんですか?

菊池 真梨香:社会的養護の対象者は4万5千人。で、施設。施設に住んでるのが3万人ぐらいです。でもそれは18歳までの話で、その後苦労している若者たちも毎年増えています。

木村 よしお:そういう18歳以降の人たちを応援する受け皿みたいなのってのはあるの?

菊池 真梨香:もちろん。あります。あるんですけど、知らない子と、施設の先生方に知識としてあるかどうかによって全然変わってきてしまいます。

ブローハンさとし:本当18歳になったらプチって終わりになっちゃうから、僕らの感覚としては、ある意味家として見てたはずなのに、家じゃなくなっちゃう。職員さんも変わっちゃうし、子ども達も変わっちゃうし。

ブローハンさとし:卒業してから18歳以降に苦労してる子が本当に多くて、1社目が続かない子がなんか60%、70%ぐらいなはずです。

浅見 直輝:どういう道が18歳になって出なくちゃいけない知ってる人、知らない人で道が分かれる知らない人はどういう道選ぶんですか?

ブローハンさとし:僕の周りですごく多かったのは、夜の仕事です。女の子だったら夜の仕事がめっちゃくちゃ本当に圧倒的に多い。止まることができないから進みながら考えてって行くしかない。男性は、やっぱりあの日雇いとか。進学もほぼできる子も少ないから結局は8割はみんな高卒として働いてます。

■助けてくれる大人の存在もまた「つながり」

ブローハンさとし:「助けて」みたいなことがすごく言いづらい。元々言えない人がいっぱいいるのに、大人になってから思ってしまって、さらに抱え込んで。

木村 よしお:我々も何もしていないわけではなくて、最近も予算をつけろとかさ、人員を増やせとか、そういうのは議論してたよ。今日もやってたよ。今日もやってたけども、さっき言ったように、当事者の人権という感覚の議論がない。やっぱこう生の声聞くと、ひしひしと分かるよね。

菊池 真梨香:高卒で働くって、それが、彼らは別に高卒で働きたいのに高卒で働いているわけではないんですね。働く意思、何かに向かって働くんだという意思があればいいんですが、働かなければ生活ができないからっていう理由で働く、働くしかない状況の子が多いです。本当に明日住む所もない。

浅見 直輝:借りるんですよね?賃貸。そういう時の保証ってどうするんですか?

菊池 真梨香:それはすごく大きな課題です。社会的養護の初心者はもう基本的にベーシックインカム更新ですね。就職者も、就職志願者もどちらも。

木村 よしお:当たり前だけど、住むとこって大事なんだよね。

ブローハンさとし:「助けて」なんかもう安心。家がない。ホームレスの方やっぱりいるんですよ。で、そのまま連絡取れなくなちゃたりした人もいたんで、家はめちゃくちゃ大事ですね。

次の対談テーマ:

「当事者目線」と「施設目線」とは?

これなら、施設にいるより、家に戻った方がいいんじゃないか、、、
でも、一度施設を出てしまうと、二度目の保護は受け入れてもらえなくて、、、

話し手:志水柚木(しみずゆづき)
何度も家から出ようとして、17歳でやっと保護してもらえた経験を持つ児童養護施設出身者。プロジェクト「Our Voice Our Japan」第1期ユースリーダー。

話し手:ブローハンさとし(ぶろーはんさとし)
アーティスト。シンガー。義父にライターでお尻を焼かれ、その傷が学校の先生に気づかれて児童養護施設入ることができた。「Our Voice Our Japan」第2期ユースリーダー。

話し手:Rさん
会社員。中学時代から18歳まで施設で生活。一時保護所で大変苦しい思いをした。

話し手:木村よしお(参議院議員)
参議院議員。元厚生労働副大臣。年金、医療など社会保障のエキスパートとして、よりよく暮らせる社会のために活動を続けている。参議院厚生労働委員会委員、参議院行政監視委員会理事、参議院政府開発援助等に関する(ODA)特別委員会理事。

ナビゲーター・コーディネーター:浅見 直輝(最前線で活動し社会を変えていく青年)