支援の差、情報の差、意識の差。問題は山積みだが、解決していくための現場の声を届けるこの対話、本シリーズのラスト回。

単なる業務になってはいけない

■支援の差、情報の差、意識の差

Rさん:支援にすごく差があるっていうのは課題だと思います。運が良い悪いになってしまう。

Rさん:一時保護は監獄みたいだったけれども、その先にある養護施設では業務委託で民間企業がやってたりするとむしろ支援が沢山あって十分すぎるくらいだったとか、逆に施設の職員が意識が高くなくて奨学金の事とかで全然わからなかったとか。情報格差もありました。

Rさん:本来は社会的養護って同じ平等であるべきじゃないですか。

木村 よしお:確かに、そこはもう地域差とかさ、それこそさっき言った対応する人によっても全然違うよね。

菊池 真梨香:児童相談所と児童養護施設の温度差の話を。施設は、働きたくて働いている人たちが多いから、比較的いいと思います。意志を持ってやってる方が多いんで。ですが、児童相談所で働きたいと思っている人はあまりいない。今年度はここに配置されたからやりますみたいな感じでやってる人たちが多少はいます。保護された次の日に行くすごく大事なので、ここの対応で子どもの人生決まっちゃう。でもその人たちはパッション持ってやってるわけとは違う。

浅見 直輝:業務だよね。ただの業務だよね。

菊池 真梨香:でも、本当にこの仕事が大事だって気づいた、気づいて一生懸命やってる人も確かにいる。でも、それが全員ではない。っていう現状です。

木村 よしお:児童福祉士とかいるじゃない。どう?

菊池 真梨香:児童福祉士が1番大事なんですけど、現実はそこに温度差があるんです。温度差があっちゃいけないところだと思うんですが。本当に1人の子の人生がかかっているから本当にプロフェッショナルっていう資格者がやるべきだなって思います。

浅見 直輝:本気で向き合っているかどうかですよね。

菊池 真梨香:それもそうですが、本当に色々な膨大なケースを抱えてるんですよ。それも分かっています。日本の福祉士は大体100件くらいを抱えていますが、海外とかだと自分のケースは20件くらいっだったりするみたいですし、月に1回は必ず担当の方に会えるっていう体制がつくれています。もうおろそかになる部分が大半ですよね。負荷がありすぎて。

菊池 真梨香:素晴らしい仕事なんだよっていうのをもっと知ってもらうべきなんですが、でもニュースでは児童相談所は何をやってるんだというニュースばかり。誰が働きたいと思いますか?

木村 よしお:いずれにせよ、やっぱり当事者のため、子どものための感覚はすごいないよね。今の話を聞くと。

木村 よしお:ありがとうございました。今回のお話を踏まえて、厚生労働省の人たちとたくさん議論をして、変えなければいけないところはどんどん変えていきたいと思います。たくさん宿題ができました。

出身者であるユースの方々からの生の現場の声。
決して表には上がってこないこともこうして「声」にしていくことで、これからの人たちのための活動に反映させていかなければなりません。

話し手:志水柚木(しみずゆづき)
何度も家から出ようとして、17歳でやっと保護してもらえた経験を持つ児童養護施設出身者。プロジェクト「Our Voice Our Japan」第1期ユースリーダー。

話し手:ブローハンさとし(ぶろーはんさとし)
アーティスト。シンガー。義父にライターでお尻を焼かれ、その傷が学校の先生に気づかれて児童養護施設入ることができた。「Our Voice Our Japan」第2期ユースリーダー。

話し手:Rさん
会社員。中学時代から18歳まで施設で生活。一時保護所で大変苦しい思いをした。

話し手:木村よしお(参議院議員)
参議院議員。元厚生労働副大臣。年金、医療など社会保障のエキスパートとして、よりよく暮らせる社会のために活動を続けている。参議院厚生労働委員会委員、参議院行政監視委員会理事、参議院政府開発援助等に関する(ODA)特別委員会理事。

ナビゲーター・コーディネーター:浅見 直輝(最前線で活動し社会を変えていく青年)