箱さえ作れば問題が解決するのではないかという「施設主義」。そうではない本質的な解決策を考えます。対談第4回目。

現実の一時保護では何が起きているのか

■自分たちの経験や過去は決して変えられないが、後輩達の未来は変えられる

浅見 直輝:私が、彼らが素晴らしいなと思っている理由があります。

浅見 直輝:自分たちは、卒業したような状態なんだけど、自分たちの後輩達が同じ目にあって同じような気持ちにならないように、何としてもよくなるようにしたいがゆえにこういう声を集めてるんです。そこにすごい共感したんですよ。そこが素晴らしいなと思って。これからの人たちが、同じようなことにならないようにするためにはどうしたらいいかをとことんやってらっしゃいますよね。

菊池 真梨香:そうですね。自分たちの経験や過去は決して変えられないけども、でもその経験を生かしてこれからの後輩達の未来を変えられるからっていう、そういう思いでみんな活動しています。

菊池 真梨香:あとは、批判をする事を目的としてはいなくて、本当の意味で「じゃあどうしていけばいいのか」っていうのをみんなで一緒に考えていきたいなと思ってます。当事者も、福祉の人、行政も含めみんなで考えていきたいんです。

木村 よしお:当事者の声もたくさん読ませていただきました。

木村 よしお:一時保護預かりとか、児童相談所の施設だとかそういう「施設主義」ね。ここはもっとこれでいいのかと考えたい。箱さえあれば良くて、一時保護所で預かったらそこに入れっぱなしでしょ?入れときゃいいと思っている。少年院入ってるとか、刑務所に入ってるみたいな感じになっちゃう。

Rさん:そうなんです。学校も行けないし、カギをかけられてっていう状況なので。そもそも一時保護を管轄しているのが非行少年を更生する施設だったところ、組織が管轄してるから、鑑別所とかの名残が残ってるって聞きます。

浅見 直輝:それは、一部の話?それとも・・・

Rさん:もう全体的に。

木村 よしお:被害者なのにさ、加害者感覚で閉じ込めててね。逃げないよう閉じ込めとけっていう感じだから。それはもう全くの人権無視だと思う。

■日本と海外の違い

菊池 真梨香:そうですね。海外だと、一時保護所自体がない。もうほとんど里親家庭に行きますし、一時保護所ということ自体がおかしいのではないか 

木村 よしお:そのほうがよっぽどいいですね。

浅見 直輝:それはもうあらかじめ準備されていて、里親が次のケースを待ってるような感じなんですか?

菊池 真梨香:里親しかないって思った方がよくて、施設、児童養護施設に入れることが人権侵害だっていう欧米だとかはそういう考えがあります。

木村 よしお:もうそれ、全くその通りだと思いますよ

菊池 真梨香:なので本当に管理が必要という必要な子以外はみんな里親家庭に行きますね。8割、9割。

浅見 直輝:里親意外だと何があるんですか?

菊池 真梨香:施設とか、グループホームです。本当に仕方がないパターンだけは施設っていう。基本的には里親。日本ももちろん里親へっていう流れもありますけど。

木村 よしお:日本の場合、当事者のみなさん方の人権が1番守らなきゃいけないのに、拘束しちゃって離さないと。

菊池 真梨香:海外では、「親が悪くて親がどこかで捕まえられなきゃいけないのに、どうして子どもたちがそういう所に入れられるんだ」っていう真っ当な批判をされてる。

木村 よしお:まったくその通りですよ。

菊池 真梨香:「なんで親は普通に今までと同じ生活をしてるのはおかしいでしょ」とも言われています。

木村 よしお:そこは本当に痛切に感じてる。

次の記事テーマ:

「当事者目線」と「施設目線」とは?

これなら、施設にいるより、家に戻った方がいいんじゃないか、、、
でも、一度施設を出てしまうと、二度目の保護は受け入れてもらえなくて、、、

話し手:志水柚木(しみずゆづき)
何度も家から出ようとして、17歳でやっと保護してもらえた経験を持つ児童養護施設出身者。プロジェクト「Our Voice Our Japan」第1期ユースリーダー。

話し手:ブローハンさとし(ぶろーはんさとし)
アーティスト。シンガー。義父にライターでお尻を焼かれ、その傷が学校の先生に気づかれて児童養護施設入ることができた。「Our Voice Our Japan」第2期ユースリーダー。

話し手:Rさん
会社員。中学時代から18歳まで施設で生活。一時保護所で大変苦しい思いをした。

話し手:木村よしお(参議院議員)
参議院議員。元厚生労働副大臣。年金、医療など社会保障のエキスパートとして、よりよく暮らせる社会のために活動を続けている。参議院厚生労働委員会委員、参議院行政監視委員会理事、参議院政府開発援助等に関する(ODA)特別委員会理事。

ナビゲーター・コーディネーター:浅見 直輝(最前線で活動し社会を変えていく青年)