生きづらい系シンガーソングライターという変わった切り口のアーティストに、現場を飛び回っている中での体験をお話いただきます。心が弱いことはダメなことか。メンタルが折れることは間違っているのか。そんな社会の中で感じた疑問について対話します。対談3回目。

就活の適性診断テストで生まれた“違和感”

風見 穏香:就活をしていた時に、適性診断テストの中で「あなたはメンタルが強いですか?」みたいな、心の面を問われる質問がすごく多かったんですよね。
それで、その質問の仕方から、なんだか「心の弱い人は、働いちゃいけない」みたいな価値観を感じて。それは私がそう感じただけかもしれないけど、やっぱり違和感があって・・・

木村 よしお:実は政治の中でもね、それに近い話があるんですよ。

木村 よしお:以前、厚生労働省が、全ての勤労者に対するストレスチェックを行う法律を作ったんですね。

風見 穏香:えー、そんな法律があるんですね。

木村 よしお:労働安全衛生法という法律でね。これは本来、ストレスを抱える人を「サポート・ケア」すべき法律なのに、実質的にはストレスを抱える人を目立たせて、ある意味では「偏見」を持たれてしまうことにも繋がりかねないんですよ。だから、政治家たちは、制度を作ること自体に満足するんじゃなくて、本来生み出すべきサポートが実際に行われているのかを厳しく見ていかなければいけない。

■頑張りたいという思いが、誰にでもある

風見 穏香:私も、大学を卒業してから、やっぱり心が弱いことで仕事に出る影響は実際あるんだなとは感じてきていて。ただ、そういう人たちが働ける場所や、お金をしっかり稼いでいける場所が少ないことには疑問がありますね。例えば「人の目を気にすること」だって、もしかしたら「人に気を配る力」に繋がるかもしれないし、もっとそういう特徴を活かせる場所が必要だと思います。

木村 よしお:そうだよね。大事なのは、機会をしっかり作っていくことなんだよね。

風見 穏香:実は今、不登校経験のある若者たち4人と一緒に、「弱音を吐いてもいい居場所」をつくって運営しているんですね。

木村 よしお:素晴らしいじゃない。

風見 穏香:ありがとうございます。

風見 穏香:活動しているメンバーそれぞれ、過去に死にたいって思っちゃう時があったり、自分を傷つけてしまう時もあったんですね。でも、活動をする中で自然と「自分にできること」が見つかっていって、みんなイキイキとし始めていて。

風見 穏香:で、ある女の子は、一度諦めてしまっていた大学をまた目指し始めたんですよ。自分でお金を稼いで、勉強も頑張って、今は大学で心理学を学んでいるんです。不登校っていうだけでレッテルを貼られたりもするけど、頑張る力も思いも持っている人はいるんですよね。

木村 よしお:すごいことだね。実際、そういう力や思いを、秘めているんだよね。気づかれていないだけで。

木村 よしお:実は、私は今、様々な力の発揮の仕方が実現するような制度を日本で作ろうとしていてね・・・

次の対談テーマ:

不登校や、引きこもりが力を発揮するための法律とは?

話し手:風見穏香(かざみしずか)
「自分にあきらめない」をモットーに、もがきながら、悩みながら、全国各地を飛び回って歌い続けています。「わなびばkitchen333」などで、生きづらさを抱える子どもたちへの居場所づくりにも取り組む。

話し手:木村よしお(参議院議員)
参議院議員。元厚生労働副大臣。年金、医療など社会保障のエキスパートとして、よりよく暮らせる社会のために活動を続けている。参議院厚生労働委員会委員、参議院行政監視委員会理事、参議院政府開発援助等に関する(ODA)特別委員会理事。

ナビゲーター・コーディネーター:浅見 直輝(最前線で活動し社会を変えていく青年)