多様性のある仲間たちが出会い、一緒に働く、活躍の場所としてのゲストハウスを運営している高野さん。障がい者手帳を持つ=社会福祉、経済的に弱者というイメージではなく、社会を構成し共に働く仲間としての活動していきたいと、事業を立ち上げられました。旅や観光を通して、引きこもり、精神障害の方も、皆が一緒に働く社会を目指されています。
対談場所は、鎌倉の、ゲストハウス彩(イロドリ)を選びました。

ハンデも含めた多様性を受け入れる、生かす

浅見 直輝:高野さんは、色んな人たちと一緒に働いてるじゃないですか? 今どういう人が一緒にいらっしゃるんですか?

高野 朋也:実際に働いてる人だと、事故で脊髄損傷した方がいます。彼は50歳過ぎなんですけど。

木村 よしお:スタッフとして働いてるんだ。

高野 朋也:はい。その事故後ずっと働いてなかったんですよ。けっこう重度な障害で。

高野 朋也:自身にそのずっと健常者だったんですが、事故で動けなくなって、それでショックを受けて。周りにもすぐに働けるような環境もなくて。今は社会福祉法人の施設でサポートを受けながら生活をしています。ここ(ゲストハウス彩)ではそこで受付とか、経理担当とかをやってくれてるんです。

高野 朋也:今のところ、鎌倉の最低時給ぐらいしかまだ払えてないんですけど、ゆくゆくは障害者年金とか生活保護とかっていうのを、ある程度貰わないでも居られるようなレベルの一般就労っていう形で、実現できたらなと。

■障害者雇用の実態

浅見 直輝:障害者手帳を持ってる方って750万人ぐらいいらっしゃいますが、その5%しか働いてないんですよね。

高野 朋也:誤解を恐れずに言うと、手帳さえ持っていれば働かないで生活保護や障害者年金を貰うっていう仕組みが、このままずっと許されるかっていうと、僕はそうじゃないなとずっと思っていて。

高野 朋也:手帳を持ってるから働かないっていう構図で続けていると、福祉を受けられる人はなぜか意外と裕福なんじゃないかってことになる。でもその下にもっとワーキングプアで報われない思いをしてる人たちがたくさんいらっしゃるので、そういう方々やっかみとか恨みとかがどんどん増幅されるんじゃないかなと思うんです。

高野 朋也:僕は障害者がやる気があるっていうことも知ってるので、作業所で物を作ったり、簡単な事務作業をして法定雇用率を満たす為だけの特例子会社で働いているだけだと、仕事に対してやり甲斐とかモチベーションが湧かないと思うんです。

高野 朋也:いいですね。障害者の人の仕事では、何か生み出す機能が全くない仕事をやってたりとか、形の上だけ作業をさせてる所が結構多いんですよ。仕事が進まないときに、どうやって補ってるかっていうと、父兄に来てもらって父兄が実際に仕事をしてるとかね、あるんですよ。実際の仕事は父兄がやってる(笑)。

高野 朋也:そんな話もあるんですね。。。

木村 よしお:全部じゃないですよ、もちろん。そいうのもあるし、形骸化してることは多い。今ほんとの意味でちゃんと仕事をして成果を出して、少しでも収入を増やしていくんだっていうスタンスなかなか無い。

高野 朋也:僕が1年前にこの株式会社に法人化した理由は、作業所など福祉の予算を貰ってやるっていうモデルだと、工賃がまず少なくなってしまって、事業所の維持の為に税金が使われてしまうっていう状態になるのです。そうすると結局はその彼らの生活に還っていかないんですよね。

高野 朋也:株式会社にした理由は、資金調達の面でもNPOとかよりもより早くお金が借り入れとかができる可能性もあるし、利益を配分できる。もちろんその社長がいっぱい貰うっていうこともできるんでしょうけど、どっちかっていうと、その利益分を働いてる人に配分できるなと思ったんです。

木村 よしお:それは素晴らしいことですね。

木村 よしお:よくない言い方ですが、障害者に働いてもらっているから補助金は見せかけで出ているとも言えます。障害者さえ集めれば収入になってしまうというか。作業で作った生産性やアウトプットしたもので給料を払うわけではなく、障害者の補助金を貰うとかね。障害者が利用されてるだけ、そういうものも出て来てるんですよ。

浅見 直輝:その話は一般的にも知られてるレベルの話ですか?

木村 よしお:問題意識のある人は気がついてますね。

次の対談テーマ:

障害者手帳と障害者雇用の実態

話し手:高野朋也(たかのともや)
「すべての人たちが共創する世界は、バラエティでカラフルだ。」をモットーに、障がい者手帳を持つ方とゲストハウス彩(イロドリ)鎌倉の運営を行う経営者。
観光、新しい働き方で共創していきたい。日常的に365日、鎧を着ている。

話し手:木村よしお(参議院議員)
参議院議員。元厚生労働副大臣。年金、医療など社会保障のエキスパートとして、よりよく暮らせる社会のために活動を続けている。参議院厚生労働委員会委員、参議院行政監視委員会理事、参議院政府開発援助等に関する(ODA)特別委員会理事。

ナビゲーター・コーディネーター:浅見 直輝(最前線で活動し社会を変えていく青年)