障がい者と健常者が分け隔てなく出会いつながる場として「ユニバーサル合コン」を企画。過去24回の開催で結婚1組・カップルを9組を生み、朝日新聞にも取り上げられて注目を集めた高野さん。
対談場所は、鎌倉の、ゲストハウス彩(イロドリ)を選びました。

解決策は、「どうせ」をなくし、依存先を増やすこと

浅見 直輝:働いてる側はどうなんですか?障害者が働くイコールパン工場とか作業所みたいなイメージを壊したいとおっしゃってました。それは見てる側としては確かにそのイメージがなくなったり変わったりするかもしれないですけど、働いてる本人たちからしたら、ここで働くことって何が変わるんでしょうか。

高野 朋也:例えば、脊髄損傷の人。そもそも諦めてたんです、働くことを。経歴を見ると本当に凄いんですよ。会社に勤められて難しいお仕事されてた。けど障害を持った。

高野 朋也:たぶんその、障害者手帳を持ってる人たちはもちろんみんなじゃないですが、意外とメンタリティーで「どうせなんとかだからできない」「どうせこうだから」、を持ちがちです。「どうせ」段差があるからその場所には行かないとか「どうせどうせ」っていう感じになりがちなんですけど、そうすると障害者の人の周りには、ケアワーカーや相談員といった福祉で関わる人しか居なくなるんですよね。

木村 よしお:ある意味狭い世界になってしまう、と。

高野 朋也:支え合うって意味での依存関係は誰にでもあると思うんですが、例えば親にすごく依存している人って、親が転けちゃったら本人も倒れるんですよね。障害者手帳を持ってる人も、福祉に依存して甘えてるっていうところがあると、それ以上の関係を他に持てないので、ある意味一つしか依存できないっていう不安感が消えないんです。

木村 よしお:不安なのは、依存先が一つしかないってことなんだ。

高野 朋也:依存できる先は一つでも多いほうがいいはずなんです。それが職場だったり地域の人たちだったりどんどん依存できる、寄り掛かれる先が増えてくると、こっちが転けてもまたこっちっていう感じで立っていられるというか。

浅見 直輝:その依存できる先っていうのは、人そのものかコミュニティー、どちらのイメージですか。

高野 朋也:コミュニティーに近いですね。

■多様なハンデを持つ人と働くことの悩み

高野 朋也:彼らと合コンをやってた時もあるんですよ。障害者手帳を持ってる人達とそうじゃない人達が、分け隔てなく出会えるっていう場をやってたんですけど、手帳を持ってる人達の傾向としては、好きになっちゃうとゾッコンで。

浅見 直輝:何でですか?

高野 朋也:やっぱり依存しちゃうんですよね。親以外の新しい関係として。なんか歯止めが効かないというか、気持ちが追い詰まってるっていう感じの相談を受けることもあります。

浅見 直輝:最初の1個のコミュニティーを見つけるのが難しそうですね。合コンはそれも一つのコミュニティーになりえたんですか?

高野 朋也:うですね。そこで知り合った人たち同士が仲良くなって「新しい取り組みを始めました」っていうのを聞くとすごく嬉しいです。なんか自立していったなと思って。あんまりそういう発想も無かったと思うんです。自分で仲間を作るとかっていうことも。だから、人の関わりを増やしていく場が大事なんです。

浅見 直輝:障害者の方たちは、最初来るときはけっこう怖かったりはしないんですかね?

高野 朋也:6ヶ月間ずっと「行く行く詐欺」をしてる人とかもいました。

木村 よしお:行きますって言って来ないんだ。

高野 朋也:助走期間が長いんですよね。その代わり、一旦行ってしまえばすごく変わる。一度多様な人がたくさんいる場に行ってしまうと、体験して、引き込まれて、自己開示もできるようになる。

浅見 直輝:それすごい良い話ですね。自分が変な人だと思って行ったら、もっと変な人がいっぱい居たっていうことですよね(笑)

木村 よしお:俺はまだマシだったとか言ってね(笑)

高野 朋也:そうですね、安心感ですね。自己肯定感が上がるためには多様性であることは必要だと思います。

次の対談テーマ:

ともに働いている人の声

話し手:高野朋也(たかのともや)
「すべての人たちが共創する世界は、バラエティでカラフルだ。」をモットーに、障がい者手帳を持つ方とゲストハウス彩(イロドリ)鎌倉の運営を行う経営者。
観光、新しい働き方で共創していきたい。日常的に365日、鎧を着ている。

話し手:木村よしお(参議院議員)
参議院議員。元厚生労働副大臣。年金、医療など社会保障のエキスパートとして、よりよく暮らせる社会のために活動を続けている。参議院厚生労働委員会委員、参議院行政監視委員会理事、参議院政府開発援助等に関する(ODA)特別委員会理事。

ナビゲーター・コーディネーター:浅見 直輝(最前線で活動し社会を変えていく青年)