それぞれの個性を活かし、足りないところを補完しあえる社会をつくりたい。全ての人が安心して一緒に楽しめる宿をつくりたい。そんな想いから古都鎌倉にインバウンドゲストハウスを開いた高野さん。コンセントの位置やユニバーサルトイレ・シャワー、盲導犬のスペースなど、こだわりが詰まったゲストハウスには、世界各国から観光客が訪れます。障害者手帳をお持ちの方々と一緒に働く高野さんに話を伺います。
対談場所は、鎌倉の、ゲストハウス彩(イロドリ)を選びました。

多様な人たちとのゲストハウス運営を行う経営者と対談者の紹介

話し手:高野朋也(たかのともや)
「すべての人たちが共創する世界は、バラエティでカラフルだ。」をモットーに、障がい者手帳を持つ方とゲストハウス彩(イロドリ)鎌倉の運営を行う経営者。
観光、新しい働き方で共創していきたい。日常的に365日、鎧を着ている。

話し手:木村よしお(参議院議員)
参議院議員。元厚生労働副大臣。年金、医療など社会保障のエキスパートとして、よりよく暮らせる社会のために活動を続けている。参議院厚生労働委員会委員、参議院行政監視委員会理事、参議院政府開発援助等に関する(ODA)特別委員会理事。

ナビゲーター・コーディネーター:浅見 直輝(最前線で活動し社会を変えていく青年)

きっかけになった障害者と彼のストーリー

高野 朋也:現在NPOを運営していますが、障害者手帳を持っていたり、ハンデを負うようになった人たちが、社会に出てないこととか、出たいと思ってるけれども彼ら自身勇気がなかったりとかしているので、支援する活動を通して、障害者とか病気とか関係なく世の中に参加するっていうのをテーマにしています。

木村 よしお:それはいいことですね。

木村 よしお:今ね、例えば、引きこもりの人たちって38歳以下で54万人、39歳以上で16万人もいて、政府統計で70万人いてね。実際は200万人ぐらい居るんじゃないかって言われてるわけですよ。

木村 よしお:一方で、日本全体で深刻な人手不足なんですよ。もしもそ38歳以下の54万人も働いてくれたらとはつい思ってしまいます。

浅見 直輝:問題が解決するかもしれないってことですね。

木村 よしお:何より本人にとってもったいないしね。社会や国全体にとってももったいないから。

高野 朋也:その首から上しか動かなくて、脊髄の病気で筋肉がどんどん衰えていく病気あって、その方は2歳ぐらいから発症したんです。だからずっと寝たきりでストレッチャー式の車椅子に乗っかって、ほぼ衣食住、トイレとかも介助が必要なんですね。彼がそのわずかに動く、顔とか指とかを駆使して絵や動画、小説とかを書いていて、この人は凄いなと思ったんです。その子がきっかけになって私の活動が始まるんです。

高野 朋也:彼がカノジョがほしいって言ったんですね。彼を長年知っていますが、彼女がほしいって言ったのは凄い変化だなと思って驚いたんです。誰かとパートナーシップとしてやっていきたいっていうことを彼自身が想像できたんだなと思うと、生まれつきの障害者という枠にはめちゃダメだなった思いました。彼は今慶応大学の法学部に行ってるんですけど、たぶん何年後か何十年後かに司法試験取るんじゃないかって思ってまして。そしたら、面白いなって。

木村 よしお:彼は通信なの?

高野 朋也:はい、通信なのでもうちょっと長くいられます。

木村 よしお:実はね、学校に行くには重度訪問介護っていうのを利用しないといけないですが、去年はそのモデルケースとして3人しかできなかったんですがね、30年度からは100人やることにしたの。

高野 朋也:すごい一気に人数が増えるんですか。

木村 よしお:文科省の管轄で、100人の枠を作ったんです。車椅子で、寝たきりで体が動かない、顔だけ動くとかっていう人が大学に行くの。100人ちゃんと。ヘルパーもついて。

高野 朋也:彼は通学してた時期もあるんですが、ノートを取れない人にはノートを代わりに取ってくれる学生さんが居たりとかしてたみたいです。なんかみんなの反応が変わって来てるのかなとは思います。

木村 よしお:今度はヘルパーさんが大学にずっと付いて来てくれる。

次の対談テーマ:

障害者手帳と障害者雇用の実態