児童養護施設出身者×木村義雄第3回 施設出身者が語る誰も知らない現実
当時13歳だった彼女が体験した、児童養護施設に入る前の、一時保護についての壮絶な現実についてお聞きしました。対談第3回目。
一時保護は一体誰のための場所なのか
■なぜ2ヶ月留まらなければならないのか
木村 よしお:一時保護ってさ、ルールがなかったんですよ、今まで。2か月いたっていうのはまだまだましな方でね、4か月、6か月になる人もいて全然歯止めがなかったの。
木村 よしお:普通は、例えば、刑事事件起こした人が警察が捕まえたら48時間で裁判所に行って、放置請求しないといけないのよ。それで後はそれ以降は拘束は10日間、合計23日間ぐらいまでしか閉じ込めちゃいけないルールが全部決まってるんですよ。
浅見 直輝:普通はそうなんですね。
木村 よしお:けど、一時保護はルールがない。それで、4か月、6か月ずっと引っ張ってるとこもあったり、一時じゃないよ。それから、面会もさせないとかさ。
木村 よしお:それでさすがに溜まりかねて平成26年に法律改正したんです。保護期間が2か月超える場合には、裁判官の判断を必要としようというルールに。
木村 よしお:それでも、2か月間はね、入れ続けることもできちゃうわけ。
木村 よしお:それでね、なぜ入れてるかと予算額の関係で施設への移管がダメだったとかね。児童相談所の都合だったりする。で、保護された子たちが犠牲になってるケースはすごい多い。
浅見 直輝:急激に刺激の強い話ですね。
木村 よしお:一時保護預かりっていうのはすっごい問題で。ノールールだったの。児童相談所が勝手にしていた。
■親子が意図せず引き離されるケース
木村 よしお:ひどいケースは親、両親が夫婦喧嘩してて、子どもは全然寝てたにも関わらず子どもだけ持っていかれちゃうっていうケースもある。それも、3週間引き離されている。私のところに助けを求めにきた。
浅見 直輝:その話、ほんとに日本の話ですか?
木村 よしお:日本、日本。
木村 よしお:それで、ピンときたのよ。面会も認めてなかったみたいだし子どもは帰りたいって言ってるんだそうだけど、これこのままだとね2か月ぐらい長引くなって。それで、ガンガン文句言ってね。それでも結局3週間くらい入れられたかな。3週間以上。
木村 よしお:全く本人傷あるとかじゃない。ただ、面前DVという事で。目の前で眠ってる最中に夫婦喧嘩しただけ。
浅見 直輝:なぜそうなるんですか。
木村 よしお:もちろんケースによるし、一概には言えないけど、児童相談所側が実績作りのためにやってることもある。これだけ大変なんだからもっと予算額を上げろとか、さ。実績稼ぎできれば予算が増えるから、とにかく入れちゃえって。
木村 よしお:野放しにしてたら、そんなん人権問題だよね。こどもたちへ人権とか、そんな感覚ないわけですよ。全員じゃないですよ、もちろん。
Rさん:地域によっても差がありそうですね。
■お金がある市町村はそれはそれで問題がある
木村 よしお:お金がある市区町村は、違う。福祉に対してはね非常にお金使ってるところはまだいい。
木村 よしお:全員じゃないですよ、けど、出世街道諦めて人なんかは、投げやりでさ、いやいや児童相談所の所長をやってたりもする。こどもたちのことを考えずに自分たちの仕事のやりやすいような形でやろうとするようなことは多々ある。
木村 よしお:お金がある市町村は、それはそれで問題があって、福祉の方に対しての厚い手当してるから、児童相談所も含めてあまりにも手厚いから、逆に親がね、手放しちゃってもう任せますってケースも多い。
Rさん:あー。
菊池 真梨香:あー。
木村 よしお:全部やってくれるから、親もバイバイと。済ませようとする。
浅見 直輝:問題が根深すぎますね。
木村 よしお:本当に当事者目線の、当事者の気持ちに立った行政が行われるような児童相談所にしていかないといけないよね。そこはね、やっぱりだからまさにみなさんの声が必要だよね。
次の記事テーマ:
「当事者目線」と「施設目線」とは?
これなら、施設にいるより、家に戻った方がいいんじゃないか、、、
でも、一度施設を出てしまうと、二度目の保護は受け入れてもらえなくて、、、
話し手:志水柚木(しみずゆづき)
何度も家から出ようとして、17歳でやっと保護してもらえた経験を持つ児童養護施設出身者。プロジェクト「Our Voice Our Japan」第1期ユースリーダー。
話し手:ブローハンさとし(ぶろーはんさとし)
アーティスト。シンガー。義父にライターでお尻を焼かれ、その傷が学校の先生に気づかれて児童養護施設入ることができた。「Our Voice Our Japan」第2期ユースリーダー。
話し手:Rさん
会社員。中学時代から18歳まで施設で生活。一時保護所で大変苦しい思いをした。
話し手:木村よしお(参議院議員)
参議院議員。元厚生労働副大臣。年金、医療など社会保障のエキスパートとして、よりよく暮らせる社会のために活動を続けている。参議院厚生労働委員会委員、参議院行政監視委員会理事、参議院政府開発援助等に関する(ODA)特別委員会理事。
ナビゲーター・コーディネーター:浅見 直輝(最前線で活動し社会を変えていく青年)