通信制高校の現状とその中身。そうしたくてやっているわけではないことの積み重ねが、なんとなくの「虚ろい感」を生んでいるかもしれない。対談第5回目。

考え方も制度もフレキシブルに変えていく必要性

木村 よしお:だけど今の話聞いてると、通信教育でもやっぱ色々あるんだな。まさに様々な。

はるか:すごい、理想抱いてたけど、結構問題ありますね。

浅見 直輝:今まで出た話だと、なんとなく入る大学のために奨学金なんとなく借りて、それが足枷になって3年から5年くらい働かないといけない。本来いいはずの奨学金が足枷があると、やりたいことが遠回りになる。

木村 よしお:これまでのところ聞いててね、高校にしても大学にしても自分のところでどうしても囲い込んでしまう。この学生の4年間はもう俺達のところの専属だ、と。勝手なことしちゃ駄目だと。おおげさな言い方するとね。

木村 よしお:企業でいうところの終身雇用制じゃないけれども、大学も同じで、18で入って22で出るその間全部あんまり他のことしないでくれ、という感覚だったのかもね。しかしここに来て、それが様々な形で、時代の変化に合わなくなってきた、と。

木村 よしお:だからもう少し考え方も制度もフレキシブルなものに変えていかなきゃいけない。けれどもまだまだそこに日本の旧態依然たる制度をあるんだね。

木村 よしお:よくよく考えれば、通信教育なんかも良いシステムなんだよね。ある意味で、累積単位制に近いようなところあるじゃない。だって、何年かかったっていいんだろう、って。そうでもないの?

うるか:場所によると思います。

木村 よしお:え?

木村 よしお:場所による、学校によると。なるほど。
土日勉強するとか夜勉強するとか、場所も自分がいいとこでいいよというのが、良い形なのかもしれないけど、手続きさえやってくれたら卒業するに値しますよというところだけがフォーカスされちゃうと、商売に走っちゃって、学生本人のためには全然なってないということはありそうだね。

浅見 直輝:商売に走っちゃうと問題ですね。

木村 よしお:累積単位制を進めてますが、そういうような問題点にならないようにしないといけないね。

早く社会との接点を持つ

三浦 宗一郎:人口の話になるんですけど、働ける人口の数、2050年には今の3分の2くらいに、3700万人ぐらいになるって言われてるんですね。ってなった時に、圧倒的に人材が減る中でその人材の質ってめちゃくちゃ問われると思うんですよね。

三浦 宗一郎:で、今のペースで、人間が大人になっていく、社会人になっていくと、遅いな、と思ってるんですよね。みんな18歳で働きだしても、遅い。それもっと早めたいんですよね、僕は。

木村 よしお:まさに、その通り。

三浦 宗一郎:もう僕は、高卒で働いてるので、客観的に見て、言い方はちょっとあれなんですけど、なんとなく大学入ってなんとなく就職する人材が一番使えないんですよね。
でも今この日本で、そんな人材ばっかなんですよ。

浅見 直輝:(笑)

三浦 宗一郎:で、そんな人材が、文句言うわけですよ。
行政に対しても、社会に対しても全部。自助努力がなさすぎるぞと、人生において。それはでも、その人達が悪いわけじゃなくて、そのシステムが悪いと思うんですよ。

木村 よしお:それは、そう。

三浦 宗一郎:例えば、中学校卒業した段階でとか高校の段階で、自分これやりたいって思う仕事に出会えてない状態だったり、仕事ってつまらないよね、って思ってしまわせてる、このシステム。

三浦 宗一郎:例えば公立高校の全員、3ヶ月インターンしてこい、とか。、無理やりでもいいから、自分の好きな会社選んでインターンしてくる。で、それを単位として、自分が実際働くっていう場所とか仕事っていうものにより近づく環境を作るべきだと思うんですよね。

三浦 宗一郎:そうすると、より社会に近くなるから、18の時点で働きだすっていう選択がしやすくなって、そこにまた、累積単位制があれば、そこに対するハードルも低くなるのかな、と思っています。僕は、力のある人材を増やしたい。

5人の紹介

話し手:三浦宗一郎 (高卒)
愛知県豊田市出身。豊田学園在学中、ロータリークラブの主催のフィリピンへの植林ツアーをきっかけに海外での活動に興味を持つ。中学卒業後はトヨタ自動車の生産ラインの技術職に従事。18年内閣府青年国際交流「世界青年の船」事業に参加。現在18カ国への渡航経験。

話し手:うるか (不登校)
小学校3年から不登校。中学校では別室登校を選択。

話し手:よしもと はるか(休学者)
熊本県出身。早稲田大学国際教養学部在学中。カナダトロントに短期留学後、ルールとリーダーがなく「お好きにどうぞ」がモットーの「三角エコビレッジ サイハテ」にてゲストハウス管理人を務める。

話し手:木村よしお(参議院議員)
参議院議員。元厚生労働副大臣。年金、医療など社会保障のエキスパートとして、よりよく暮らせる社会のために活動を続けている。参議院厚生労働委員会委員、参議院行政監視委員会理事、参議院政府開発援助等に関する(ODA)特別委員会理事。

ナビゲーター:浅見 直輝(最前線で活動し社会を変えていく青年)