学校内の不本意なやりとり。リアルな現場で起こっている、不都合について話します。対談第7回目。

学校内の圧力

浅見 直輝:他に、こういうものがあったほうがいいんじゃないかってのはありますか?

うるか:小中学校でガチガチなもう暗記型の学びばかりでずっと進んで来たのに、大学になったら急に自由になって「どうすればいいの?」ってなって、やりたいことが明確にわからない人は1、2年で遊んでしまうっていう話を聞いてて。

木村 よしお:よくありそうな話ですね。

うるか:勉強にするにしても、小中学校の段階で、なぜこれを自分は学ぶのかっていう意味を見出すための授業とか、考える時間が必要なんだと思うんです。校則やルールにしても、先生たちがルールを守れっていうけど、決まってるから押し付けてるだけなんじゃないかっていう風に思うことが多くて、なぜそれを守る必要があるのかっていうのを考える時間っていうのを作った方がいいんじゃないかなって思います。それこそ外部から色んな人を呼んで来てもらったり。学校の選択肢が狭まっている一つに、教員が絶対的な存在みたいになっているなっていう風に思ってて。色んな意見の中の一つの意見ではなくて、これが絶対的な意見だっていう風に教員の言葉が入ってしまって、それによって生徒の価値が決まってしまうようなこともあるし。だから教員の養成的なものもなんか。先生って呼ばれることに酔ってしまってる人がいるなって。

うるか:学校では教員が絶対的な存在みたいになっているなっていうふうに思ってて。色んな意見の中の一つの意見ではなくて、これが絶対的な意見だっていうふうに先生方の言葉が私たちの耳には入ってしまうことはあると思います。

木村 よしお:なるほど。

浅見 直輝:具体的にこの先生がとかってあるの? なんかすごく強いと思うんだよね、その先生からのルールの縛りとか、その言葉に圧力というか強さの感じもあるように聞こえます。リアルな体験とかがあるのかな?

うるか:実は、弟も不登校で。その弟に対して弟の担任の先生が「俺の経験上、君はこうすればいいから」みたいな感じで、彼の状況を見ずに無理やり学校に連れて行こうとしてたりっていうのがありました。また、私の体験なんですけど、卒業式が近づいて集合写真を撮るからって担任の先生が呼びに来た時に、私は思い出もないし写真撮影には行きたくないなと思って「いいです、行かないです」って答えたんですけど、「生徒全員が揃ってるのは今日だけだから、来なさい」って言って数十分ぐらいずっと連れて行かれようとしたことがありました。最終的に「みんな呼びに来たら来るよね?」みたいな感じになって、学年ほとんどの女子が私がところにまで来て囲まれました。

うるか:こっちはずっと嫌って言ってるのにそれを聞いてくれない状況。

三浦 宗一郎:恐怖だね(笑)

優先順位はそれでいいのか

浅見 直輝:教員の教育が全然できてないんじゃないのかなあ?

三浦 宗一郎:教員って、新入社員研修みたいなのあるんですか?

木村 よしお:そりゃもちろんありますよ。10年研修とかね、色々。

浅見 直輝:教職課程の時に来て、その後はすぐに配属になる。いきなり担任を持たされることはまずほとんど無いはずんですけれどもどうしても人数が足りないっていう時に、新卒なのにいきなり担任を持つっていうケースはあるみたいですね。多くの学校は2年目から担任を持たされるそうです。

三浦 宗一郎:最初の1ヶ月とかにね、新入社員研修みたいな感じであってもおかしくない感じしますけどね。

うるか:大学の教育学部のゼミに参加させて貰ってるんですけど、その人たちに教育学部で何を勉強するのかとか、印象に残っているものがあるかどうか質問したら「なんもない」って言ってて。専門性が無いから何も学んだことが無いっていうニュアンスでしたが。4年間の中で生徒と関わったところの教育実習の2週間だけ、実質土日は休みだから10日間しかなかった。それだけしか関わってないのに、もうすぐ学校に配属になるってことに疑問を持っていました。

木村 よしお:じゃあ畳の上の水練をやってるような印象の人もいるんだね。

うるか:現場の先生が忙しいのはあると思うんです。教員の多忙化。忙しいと考える時間みたいなものがないと思うんで、まずはアクションは起こしているけど、基盤的なものをどうにかしないとちょっと難しいところがあるのかなとやっぱり思います。

木村 よしお:20人学級とか30人学級とか。あれ意味ありますかね?多忙化っていうとこね。我が校は20人学級をモデルに取り入れましたとか、うちは30人でとかやってますよね。その辺どうなのかな、効果あるのかな?

うるか:昨日ちょうど現職の小中高の先生とお会いする機会があって話を聞いてたら、中学生の時とあと小学6年生ぐらいから生徒一人一人に資料を作らなきゃいけないって言ってて。しかもそんなにいっぱいいると一人一人は見れないっていう風に言ってたので、やっぱり多いのかなっていう。

木村 よしお:その資料は何? 役に立つ資料なのかな?

うるか:小学校の場合は、私立の中学校に送る為の調査書みたいな。あと指導案とかを毎日書かなくちゃいけないとか。

木村 よしお:それ本末顛倒だね、なんか。報告書を出す為にさ教える方が疎かになるってことだもんね。ただ、それはね、役所と民間の企業との関係でも色々とあるんですよ。あまりにもね、役所への文章提供義務が多いわけですよ。

木村 よしお:話ちょっと変わりますが、例えば看護婦さん。看護婦さんって患者を看るのが一番の仕事じゃないですか。ところがね、1番看護婦さんで多い仕事っていうのは、いま話に出たような、報告書を作ること。2番目にね、会議。3番目に講習会っていうね(笑)4番目くらいにね患者を看るってのがやっと回ってくる。患者を看るのが一番先ですよね。本末顛倒しちゃってるんだよね。だから実際に看護婦さんが患者さんを看護してるのは4分の1ぐらいしかないと、あるいわそれ以下だったていうのがね、今の現状の話なんですけども。

5人の紹介

話し手:三浦宗一郎 (高卒)
愛知県豊田市出身。豊田学園在学中、ロータリークラブの主催のフィリピンへの植林ツアーをきっかけに海外での活動に興味を持つ。中学卒業後はトヨタ自動車の生産ラインの技術職に従事。18年内閣府青年国際交流「世界青年の船」事業に参加。現在18カ国への渡航経験。

話し手:うるか (不登校)
小学校3年から不登校。中学校では別室登校を選択。

話し手:よしもと はるか(休学者)
熊本県出身。早稲田大学国際教養学部在学中。カナダトロントに短期留学後、ルールとリーダーがなく「お好きにどうぞ」がモットーの「三角エコビレッジ サイハテ」にてゲストハウス管理人を務める。

話し手:木村よしお(参議院議員)
参議院議員。元厚生労働副大臣。年金、医療など社会保障のエキスパートとして、よりよく暮らせる社会のために活動を続けている。参議院厚生労働委員会委員、参議院行政監視委員会理事、参議院政府開発援助等に関する(ODA)特別委員会理事。

ナビゲーター:浅見 直輝(最前線で活動し社会を変えていく青年)